対人賠償には「無制限」以外の選択肢はないと考えよう

対人賠償保険、略して「対人賠償」というのは、自動車事故によって他人を死傷させた場合にその損害を補償するもので、任意保険の中核となる補償といえるでしょう。

具体的には、自賠責保険で補償額では足りない部分について任意保険の対人賠償によってカバーされるということになります。

例えば、わかりやすくするために100:0の事故を想定して、相手方の損害額が8,000千万円だとすれば、自賠責では上限の3,000万円までしか保険金が出ませんので、任意保険の方の保険金5,000万円と合わせて損害賠償が行われるという形になります。

もし交通事故の加害者がこの保険に加入していないと、十分な賠償を受けらない被害者本人はもとより、加害者の方も一生苦しむようなことになりかねず、対人保険は自動車保険の中でもっとも重要な保険だといっても言い過ぎではありません。

この対人賠償の保険金の限度額は「無制限」にすることがほとんど常識のようになっています。

実際、対人事故の損害額が億単位になることは珍しいことではありません。

これまでの裁判例での最高額は5億843万円にもなるそうです。

これは酩酊状態の開業医師(41歳)にタクシーが衝突して死亡させたもので、事故前4年間の平均所得が5,500万円以上あり67歳までの逸失利益だけでも4億7,850万円となったようです。

酩酊して道路を歩いていたということで医師側の過失が60%と認定されたそうですが、それでも加害者側の賠償額は2億円を超えるものになってしまいます。

また後遺症が残る場合の賠償額も巨額になる場合が多く、平成23年の被害者が遷延性意識障害の後遺症を残す重篤な症状となり3億7,829万円の賠償額となった裁判例では、過失割合80%の加害者は3億円を超える賠償額を課されています。

もう一つ後遺障害が残った事故の例を見てみましょう。

平成17年判決の、バイクの被害者が高位頸髄損傷を受けて四肢完全麻痺と呼吸器系に重大な障害を残した例で、賠償額は3億6,756万円。

過失割合95%の加害者は3億5千万円近くの賠償義務を課されています。

これらの事故は何も特別なケースではなく、いつ身近で起こっても不思議ではない事故であり、「対人と言ったって1億円もあれば大丈夫ではないか」などという考え方が如何に危険なものかがわかると思います。

対人事故の場合はほんのちょっとしたことでもどれくらいの損害になるか見当が付かないというのが現実です。

対人賠償が「無制限」になっていない任意保険は、非常に大きいリスクを抱えた保険になってしまいます。

したがって対人賠償の限度額煮ついては、「無制限」しか選択肢がないと考えるべきでしょう。

普通車の任意保険であろうが軽自動車の保険であろうが「対人賠償:無制限」は鉄板といってもいいほどの常識と考えましょう。

ページの先頭へ